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《ツレがうつになりまして》ひととひとが寄り添って生きる。2011-10-16

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(既出:2011-10-16 )

《ツレがうつになりまして》
      ひととひとが寄り添って生きる。
          2011-10-16


宮崎あおいさん(ハル)と堺雅人りん♪(ツレ)の闘病記。
というか、
ツレがうつ病になってからの日常を描いた作品。
ハルのけなげで一生懸命で可愛い姿に元気付けられる。

最初は日常のちょっとしたこと。
ツレは生活サイクルのちがうハルに負担をかけまいと(かな?)
お弁当を自分でつめて、出勤するのだが、
そのお弁当づくりがどうもしんどくなる。
大好物のチーズも日によって種類を決めているほど几帳面なのに、
せっかくそうやってつめたお弁当も食欲不振で食べられなくなるのだ。

ツレの仕事はIT企業での、お客様相談室のような部署。
お客からの愚痴や相談をただただ受け止める一日。

朝、会社に出かけるのが苦痛になってくるのだけれど、
真面目なツレは休むということができない。

ハルはそんなツレを、風邪なんじゃないのと
気遣ってはいるのだけれど、さして気に留めなかった。
けれど、ツレが受診して、《うつ病》と診断されてから、
いろいろ勉強しはじめる。

ハルとツレの、《うつ病》に向かい合う日々がはじまる・・・。



この映画を観てよかったなあと思うこと。
人間のこころのひだひだって、とっても多いし、
こころの揺れ動きって、本人にも周りの人間にも
予測不可能なんだなあというのに気づいたこと。
辛抱して見守って、見守って幸せになっていくのが
人間なのかなというのに気づいたこと。


心療内科のお医者さんが出てくるんですが、
あくまでお医者さんとひとりの患者さんの病態を診るだけで、
ひとりに向き合って、どこまでも見守ってくれるわけじゃない。
そのあたり、さらっと、だけどきちんと描いている。
病気って、病人とまわりの人間が、一生懸命向き合うことなんだなあと
改めて思った。

でもその向き合い方がたいへんみたいで、
ハルはツレを特別扱いしない、
当たり前の日常を送る。

病気はよくなったと油断していると、
すごいしっぺ返しがくる、
そういう気分の高低を堺雅人りん♪は声の大小から、
雰囲気の立て方というか、たたずまいで、
実にめりはりがあったな。

たしかに夫婦の物語で、
その道程にはいろいろと艱難辛苦が待っていて、
それを乗り越えて行って初めて真の夫婦となるのだ・・的なことが
盛られてはいた。

でも、私は思ったのだ、
そうじゃなくても、
ひとりの人間として生きている途上で
さまざまなひとと出会って、付き合って、
このひとはこういうひと、と、
自分の目にうつる《常態》で決め付けているけれど、
それはそのひとの精一杯の姿で、
ほんとはそのひとの抱えている大きな容量のこころの
ほんのちょびっとのことしかわかっていないのかもしれないな、と。


傷つけるのはとても簡単なのに。
精一杯尽くしているつもりでも優しくしているつもりでも
伝わらないことはたくさんある。
そのとき、なぜ? 
報われない憤りにこころが張り裂けそうになるけれど、
にんげんってそれだけ繊細で取り扱い注意な厄介なものなのかもしれない。
にんげんがにんげんを救うのはとても難しいことだ。

ハルは日記に絵を描く。
ツレが布団にもぐって亀みたいになっていると、
街でツレが魅了された亀に
「亀が亀を飼えるのかよ!」と吹き出しをいれる。


何気ない日常のなかでハルがツレに
ほんのささいなことで取り返しのつかない傷つけ方を
してしまいそうになるとき、
怖いなあと思った。
にんげんがにんげんを救えるのかな、
傲慢なのかな、と怖かった。

だけど根気よく寄り添っていくこと、
その覚悟と持続は、
きっと、それがそのまま、
生きていくということにすべて、
つながっていくと思うのだ。


ハルがなぜ病気になってしまったのか、と問いかけるより、
病気にかかったことの意味を考えたい、
というような事を言う場面があって、
それはとてもこころに刺さった。
ハルはツレの病気から、
にんげんのこころの奥深さその複雑さ愛しさを学ぶからだ。


それはこの映画に限らず、いろいろなことにあてはまると思った。
なぜ○○してしまったのか、ではなく、
それがもたらした意味について考えること。



上手くまとめられないけれど、
たくさん考えさせてくれる良い映画だった。
堺雅人りん♪と宮崎あおいさんはお似合いの夫婦だった^^。


朝日夕刊に載ってたけど、
「神様のカルテ」の奥さんもハルというのだそうだ。
宮崎あおいさんが言う、「神様」のハルさんは理想だと思うけど、
「ツレうつ」のハルはそうじゃないと思うのに、
やっぱり理想的な奥様だと言われるのだという。
宮崎さんは不思議がっていたけど、私は当然だと思うのだ。

ハルは家事も仕事もマイペースだったけど、
ツレに寄り添うのは全力だった。
そのあたり、まねできないし、尊敬する。
いじらしいとかけなげとかじゃなくて、
甘えるのとキレるのに無理がなくて、
キレたあと、すごく謝ったけれども、
そういう、無理しない感情表現がまた、素敵なのだ。
無理をせず、あんなにツレを大事にできるから理想なのだ。
このあたりは宮崎あおいさんだからこそ、の表現力だと思うけど。

見終わったあと、オットにもう少し優しくしてあげようかな、と思ったのは
ハルがオットにたいする優しさ、見守る努力を教えてくれたからだ。
(もっともうちは私ではなくオットが努力しているが:笑)

ハルの両親の余貴美子さん大杉漣さんがあったかくてよかった。

イグアナのイグくんも可愛かったけど、
イグアナが苦手なひとはちょっと遠慮したほうがいい映画かもしれない。





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