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乙一!ありがとう、「暗いところで待ち合わせ」!!!  2006-12-11

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乙一!ありがとう、
「暗いところで待ち合わせ」!!!
         2006-12-11




≪交通事故によって視力を失ったミチル(田中麗奈)は
父親(岸部一徳)とふたりで静かに暮らしていた。
ところが、そんな最愛の父が突然、病死。ミチルはたったひとりで暮らしはじめる。
身の回りの家事を一人でこなすミチルの生活は、一見、静かで穏やかにみえたが、
そのこころのなかは不安と孤独がいまにもあふれだしそうだった。
そんなある日、一人の男が彼女の家にそっと忍び込む。
男はミチルの家の目の前の駅で起きた殺人事件の容疑者として
警察に追われるアキヒロ(チェン・ボーリン)。
家の中に微妙なひとの気配を次第に感じ始めるミチル。
殺人事件をきっかけに、2人の不思議な共同生活がはじまった・・・≫
(映画パンフレットより引用)

冒頭から本当に静かな映画なので、映画館のなかも静まり返っていました。
ミチルは一人暮らしなので、ほとんど言葉を発することもありません。
息をつめていなければならないような、
観客がひとつの塊となったような、
そんな雰囲気のなかでものがたりがすすんでいきました。

父親はミチルのために点字を習得、
右から左へと逆に打ち込まれた横文字の手紙を、
ミチルは父の書斎のひきだしに、大切にしまっていました。
そしてそれをそっと指でなぞって、父を想って泣くのです。
孤独を思って泣くのです。
私の目から涙がすーーーーっと、流れてとまりません。
なんで泣くのか、自分でもわかりませんでした。
でも、わたしは孤独なミチルに自分を重ねていたのだと思います。
目が見えようと、表面上、生活は穏やかに流れていても、
誰もが、こころの奥には、根源的な孤独と不安を抱えているでしょう。

アキヒロが部屋の片隅でひざを抱えて、彼は息をひそめています。
トイレを使用するわけにもいかず、
夜中になって、彼はペットボトルのなかにおしっこをし、
窓からそっと流すのです。(こういう描写がひとつあるとリアルです)

ミチルはときどき外に連れ出してくれる幼馴染の親友から、少しずつ自立することを求められます。
不安なこころを抱えて、杖を携え、道路へ出てゆくミチルは
車のクラクションに動揺し、道のまんなかで立ちすくんでしまうのです・・・。

観客はあるときはミチルの傍らで、あるときはアキヒロの傍らで、
どきどきしながら相手をうかがいます。その配分は絶妙でした。

ネタバレになるので、プロットには触れませんが、
不安と孤独を抱えていたアキヒロは最後にこんなふうなことを言います、
「ぼくはいつも自分がしっくりくる場所を探していたが、そんなものはどこにもなかった。
本当に大事なのは場所ではなく、ぼくがここにいていいんだと存在することを許してくれる誰かなのだ」と。

この映画は、ミステリの部分も含んでいて、静かにではあるのですが、ぐいぐいと
観客をひっぱってゆきます。
たいそうなことは言えません、
ひとりでも多くのひとが観て下さい!と訴えることしかできないのですが、
こんなに素晴らしい映画の原作を書いてくれた乙一には、感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう、乙一さんっ!!!

田中麗奈は静かにていねいに不安げに、ミチルを大切に演じていて、拍手をおくりたいと思います。
また、原作と違って中国人と日本人のハーフという設定のアキヒロを演じるチェン・ボーリン。
息をひそめているので言葉のない演技となりましたが、
端正な顔の、強い眼力(めぢから!)に、引き込まれました。

みなさん、万障お繰り合わせの上、ぜひぜひ、観てください!
お気に召さない場合、クーリングオフ期間内なら、代金をお返ししますって。
自信ありますもん、癒されますから。


追伸です、
映画の主題歌≪underworld≫はメレンゲってグループの曲ですが、とても素敵ですよ。
雰囲気的にはブリリアント・グリーン系と私は思っていますが、
好きなんですよ、ああいう癒し系。
アジカンとか、バンプとかも好きですが・・・。







 予定より一週間先送りになった、乙一原作の「暗いところで待ち合わせ」。
観てまいりました、最高でした!





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