西島秀俊、
その魅力の不思議にせまる。
2012-03-22
「セイジ〜陸の魚」に主演している西島秀俊。
昔はなんとなく藤木直人と同じジャンルの人かと思っていた。
ともに長身の二枚目で、西島は横浜国立大学中退、
藤木は早稲田大学卒業という高学歴。
にもかかわらず、二人はいつの間にか遠く離れた別の「箱」に入っていた。
藤木がいまでも「ナースのお仕事」の《高杉健太郎》で、
あまり生身感のない「王子様の箱」に入っているのに対し、
西島のほうはなぜか生々しさたっぷりで、ともすればその「箱」からさえも
ダラダラとダダ漏れしていそうに見える。
どことなくだらしなさそうだったり、ダメそうだったり、世間からズレていそうだったり、
暗い過去を背負っていそうだったり、影がありそうな役が良く似合う。
しかも、それは、「演技力」云々を超えた何か不思議な雰囲気によるものではないかと思う。
というのも、この人、しっかり演技しているように見えないとき、
たとえば、カメラに対して正面向きで棒立ちしているだけで、なんだかヘンな凄みや重み、
逆に浮世ばなれしたフワフワした感じがあるのだ。どうもつかめない。
正面を向いているのに、本当に見ているのかどうかも、よくわわからない。
でも、「背中」を向けているのでは、なんか違う。
正面向きで謎めいているのって、実はこのくらいの世代の俳優、しかも二枚目俳優では
稀有な例ではないだろうか。
気づいたら、顔にほうれい線が目立つようになっている西島秀俊。
そのほうれい線すらもイイ味に見えてしまうから不思議だ。
いわゆる「爽やかなイケメン俳優」というのを脱した今こそ、
西島秀俊が輝くときなのかもしれない。
(文・田幸和歌子/ハリウッドチャンネル)
とても短い記事なのですが、
西島秀俊さんの魅力について、
言葉にしにくいことを、
実に的確に言葉にされているなあと感心しました(笑)
>というのも、この人、しっかり演技しているように見えないとき、
>たとえば、カメラに対して正面向きで棒立ちしているだけで、なんだかヘンな凄みや重み、
>逆に浮世ばなれしたフワフワした感じがあるのだ。どうもつかめない。
これねえ、「僕とスターの99日」でより、
「ストロベリーナイト」の方が顕著でしたよね。
ほとんど、セリフらしいセリフがなかったというか、
あ、あったかもしれませんが、
何も言わずに立っておられることも多かったですよね(笑)
その、文章の行間の芝居ができるひとなんだなあと、
この記事を読んで思いました。
そして、そのドラマに奥行きを与える、というか。
今回の「ストロベリーナイト」でも、
竹内結子さんは髪をしきりとかきあげたり、
普段の1.5倍くらいの歩幅なんじゃないか?と思うくらいの闊歩、
あるいは、拳でどこかをたたきつけるみたいな、
動の演技で攻めてましたけど、
西島さんは、実に静かに受け止めてました。
(実は遠藤憲一さんも恋愛感情はないとしても受け止める演技が素敵でしたよね)
そこでの菊田(西島さん)の感情は、
観る者にゆるやかに委ねられるという感じで、
余韻があっていいなあと思いました。
最終回は、濱田岳さんと石黒賢さんの絆が悲しすぎるお話だったけれど、
それでも、ラストに用意されていた、
姫川(竹内さん)と菊田(西島さん)の、
まるで大人の純愛みたいな、上品で可愛い気持ちのやりとりが素敵でしたね。
途中から「根っこが生えてしまった」と画面に釘付けになっていた息子、
映画化を知って「贅沢な感じがするな」と言ってました。
仕掛けが派手になるだけじゃなくて、
画面の贅沢さはぜひ忘れずにいてほしいものですよね。
西島さんの演じる菊田、やっぱり黙って姫川を見つめてたりするんだろうな。
>というのも、この人、しっかり演技しているように見えないとき、
>たとえば、カメラに対して正面向きで棒立ちしているだけで、なんだかヘンな凄みや重み、
>逆に浮世ばなれしたフワフワした感じがあるのだ。どうもつかめない。
思わず繰り返す引用(笑)
この記事の筆者はきっと西島さんのファンにちがいない(笑)