(既出: 2009-08-05 )
映画≪花ゲリラ≫
青年が淋しい街角に
花の種を植える・・
2009-08-05
■あらすじ■
会社と家を往復するだけの平坦な日々を送るOL、映子(伴杏里)。
ある日の帰宅途中、彼女は夜になると街のさまざまな場所に
金鶏菊(きんけいぎく)の種を植えて歩いている青年・ユウスケ(小西遼生)に
遭遇する。ユウスケの行動を面白く思った映子は、それを手伝おうと決意。
一方のユウスケは戸惑いつつも映子を受け入れる。
映子は花が咲くのを電車に乗って一緒に観ようという。だが、家にひきこもって、
夜に花の種を撒くためにだけしか出歩けないユウスケにはそれはできない相談
だった。ユウスケは映子を拒絶するのだが・・・。
ひとりの青年が
ひとの寝静まった街角の、淋しい場所に、
人の目にとまるかとまらないか・・
そんな程度にと、花の種を植える。
青年のちいさな行為がやがて、
すこしずつ波紋をひろげてゆく・・。
≪花ゲリラ≫という題名と、
少しだけ書かれた内容にDVDを手にしました。
金鶏菊の画像はここから
青い夜の画面に、青年の頼りなげなシルエット。
道端にしゃがんで、ていねいに、慈しむように
金鶏菊の花の種を埋めてゆきます。
何も花でいっぱいにしようなどというのではなく、
目にとまるかとまらないか・・。
そのありようが映子のこころをうつのです。
日々、印刷会社で校正のはいった原稿を打ち直すだけの
単調な仕事・・。
ところが、ユウスケに逢ったことで、生活が変わってゆきます。
原稿に校正のもれたミスをみつけると、あ、見過ごさなくて
よかったと思うようになり、ちいさなことに感謝するように
なります。コンビニ弁当だったのが、自宅のアパートで
きちんと一人分の食事を作るようになります・・。
誰かのちいさなふるまいとそのこころが、あざとさなしに、
ひとのこころにしみてゆくのが心地よい映画です。
主人公のユウスケを演じる小西遼生さんが、生活感のうすい、
繊細な青年を好演しています。
彼の端整な容姿がきちんと目に焼き付けられる頃、
あなたはきっとこころが穏やかになっているのを感じるはず・・。
アニメ「デスノート」で夜神月の声を担当なさった、
宮野真守さんが友情出演なさっています。
コンビニの店長なんですけど、だめ男なんですよ(笑)
著名な役者さんはほとんど出ていないけれど、こんなに素敵な
映画が生まれていたのだなあと思いました。2009年1月封切だそうです。
ぜひご覧になってください。お薦めします。