松山ケンイチくんが出演している≪アカルイミライ≫。
【日本の映画監督】(AREA MOVIE)で
オダギリジョー、加瀬亮、浅野忠信各氏と4人で
「黄金の4人が描く”アカルイミライ”」と題して語られています。
(既出:2008-02-20)
アカルイミライ
松山ケンイチくんが出演している
≪アカルイミライ≫をやっと観ました。
ほとんどセリフもないちょい役なんだけど、
カッコイイんだわ・・こんなカッコイイとは知らなかったです。
主人公とつるんで、窃盗に入って、捕まってしまうんだよね。
だけど、ださくないんです。
エンドロールにつづく流れで、一団となって歩き、
ダンボールを蹴って歩くんですが、なんだか美しいのですよ。
難解なんだけど、決して観られないというのではなく。
どうにでも物語を解体できるし、ジグソーパズルから
いらないピースを自分で決めちゃえるというか、
自由で、自分で想像をひろげてゆける作品です。
やっぱり一度はみてほしいな。
これからすぐにも観たいというひとは(ねたばれあり)から下を
読まないでください。 忘れた頃に観ようかなってひとは
ずずずとお進みくださいね。(笑)
雄二(オダギリジョー)と守(浅野忠信)はおしぼり工場の同僚。
行き場のない苛立ちを抱える雄二と、穏やかな守。
雄二にとって守は唯一心を許せる相手だった。
守はアカクラゲという、猛毒のクラゲを飼っていて、
そのクラゲに関するときだけ、非常に神経質になる。
守はクラゲを真水に慣らさせようと考えている。
少しずつ水槽の水を淡水化させているのだ。
おしぼり工場の社長(笹野高史)が崩壊した家庭の中へ
二人を招待し、若者を理解しているということを誇示、
擦り寄る。うざったく感じているふたりを職場では
優遇するといっておもねり、迎合し、ふたりを苛つかせる。
猛毒のクラゲの水槽に社長が手を入れるが、守はそれを
制することもしない。翌日、そのクラゲが猛毒だったことを
知り、社長が守を解雇してしまう。
雄二は突然暴力的な衝動に駆られ、おしぼり工場の社長宅へ
鉄パイプを持って押し入る。
だがそこは既に血の海で、その中には倒れている夫婦の死体があった。
そしてその夜から守の行方がわからなくなっていた…。
(ねたばれあり)
↓ ↓ ↓
守は社長夫婦を殺害していた。捕まったのち、面会の雄二に聞くのは
クラゲのことばかり。守の指示通り、クラゲの世話をしていた雄二は
あるとき、クラゲに事の成り行きの元凶を求め、キレ、水槽を
壊してしまう。クラゲは床板から下にするりと落ち、そこから排水溝へ
漂い流れていってしまう。守は自殺、雄二は守の父親・真一郎の廃品回収
リサイクル業を手伝うようになる。
守と、守から世話を引き継いだ雄二によって真水に慣らされた猛毒の
クラゲは排水溝のなかでも死なず、増殖を始める。
守はクラゲのえさとなるえびの一種を培養するのだが、真一郎は
真水で生き延びるクラゲの存在を信じようともしない。
ある夜、守の亡霊が現れ、えさの培養装置を破壊してしまう。朝、
装置が壊れていることを知った雄二は真一郎にやつあたりをし、金を
持ち去ろうとする。雄二は自暴自棄になり、ゲームセンターで知り合った
少年たちと妹婿の会社から現金を強奪しようとする。少年たちは
捕まってしまう。
雄二は再び真一郎のもとに戻る。テレビでは大量の猛毒のクラゲが
発生していることを伝えている。雄二は「守の願いがかなった」と
海にむかって漂ってゆくクラゲをどこまでも追い続ける。
一方、ゲームセンターでたむろしていた少年たちは一団となって、
ダンボールを蹴り飛ばしながら、いずこかを目指して歩き続けた・・・
猛毒の、しかも真水に慣らされたクラゲは
もう適応できないかもしれない海に戻ろうとする。
葬送の行列のように見えて、
同時に、朝の街を、ダンボールを蹴りながら歩く、
無自覚な、まだ無邪気な少年たちのようにも見えた。
目のまえに迫っている危機に無自覚なのだ。
雄二が守に代わって、クラゲにいらつきながら、
その存在を守ろうとしたのは、
もう自分が夢見ることを許されない、
「アカルイミライ」への憧れ故なのだろうか。
いっとき、少年たちとつるんで、金の強奪を考えたのも
彼らにクラゲのはかない願望を映したゆえなのだろうか。
しかし、暗渠のなかをたゆたう猛毒のクラゲたちの、
笠をひろげてまるで会話をしているみたいな、
そのはかなげな、美しさ。
私は雄二とクラゲと少年たちにまなざしを注いでしまったが、
この映画の不思議で包容力にあふれるところは、
雄二と守の関係性や、
守と真一郎の関係性、
雄二と真一郎の関係性など・・
どれをも主軸にすえることができるということだ。
あるいは、
2世代ではなく、
3世代における関係性と見ることも出来る。
飼いならされた猛毒・・
その取り扱いはときにスリリングだ。
まるで雄二のように。