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松山ケンイチ主演《家路》を見てきました。【ネタバレ】全開、ご注意。2014-03-08

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松山ケンイチ主演《家路》を見てきました。
     【ネタバレ】全開、ご注意。
         2014-03-08

2014-03-08

映画『家路』



WOWOWで関連番組を見たので、「もうあらすじわかっちゃったよ」と思ってました。

大間違い。良い意味で、すっかり騙されました。

なので、映画観てないひとはこれから先を読んではいけません。

観たひとはコメントで、思いを吐き出してくださいね(笑)



いや、何から話せばいいんでしょう。

感想ですから。レビューなんて書けない。冷静に語れないです(笑)



私は、次郎が故郷を捨てた、という予告編のナレーションに騙されました。

まあ、こころの中ではいったんは捨てたのかしら?

そういう気持ちがあったからこそ、

総一の犯した罪をかぶる覚悟ができたのかもしれませんよね。


一生、故郷に帰らない決意で、故郷をあとにした次郎。

でも、それじゃあさ、

総一が「なんで帰ってきた!」って殴るんだろうって思うわけで。

だって、自分が追い出しといて、ですよ。

村があったならば、「なんで帰ってきた!」になると思うんですが。


あの取っ組み合いは予告編を超えてましたね。

次郎(松山さん)の真っ白なおなかをこれでもかと拝ませていただきました←不純^^

次郎がブレない、と舞台挨拶で監督が言われてましたけど、

見事にそうでしたね。

ブレたというわけではないけど、

本当の感情が吐露されたのは、

お母さんと田植えしていた時に、

「次郎、学校は」と呆けて聞かれた時だけなんじゃないかと思いました。

あそこの次郎の表情が、言葉に置き換えられない、

映像だからこそ表現できる芸術としての映画の醍醐味、あるいは奥行きをみせて、

あそこにすべてが集約されている気がしました。

ふるさとに帰ってきた喜びと悲しみ、

母とやり直す喜びと悲しみ、

それは次郎にとってなのですが。


次郎(松山さん)のあの表情、観れてよかった!すごいわ。




パンフレットに書かれていたけれど、

それを読む前に、

映画を観た人ならだれもが思うことでしょう、

この映画は、家族のそれぞれが主役の物語なんだなあと。


シナリオ読んでいないので、名前がわからなくてすみません。

光石さんが演じた総一の友だち、

彼が東京に汚染土を捨てに行こうとして行けなかった、

その憤りと悲しみがこころに刺さりました。

次郎がきっと、あの土を畑に盛るんでしょうね。

それにしても、光石さんが演じた彼は、

最後にトラックのなかでなんとつぶやいたんでしょう。



福島と完全に切れている存在として描かれたひとは出てこなかったと思うのですが、

私の視線に近いのはかつての同級生、

でも彼もまた地元のひとだったから同一ではありえないですよね。

彼には汚染前のコメや漬物は食べられたけど、

「ゆるやかな自殺」である地元の空気や産物は口にできないわけで、

うしろめたさというか、裏切りにも似た思いを自らに感じて、

感情を制御できなかったのだと思うのだけれど、


それがとても(事故後の)普遍的な視線の確保でもあると思ったのでした。

2時間という尺のなかに、実に見事に配置してあるなあと。



福島の映画、にせず、

ひとつの家族の物語、としてきちんと成立しているところが、

この作品の素晴らしいところだと思います。

家族以外、誰もしらない自分の負い目であるとか、

口惜しさや悲しみ絶望や。


総一の奥さんが「負けるもんか」「負けるもんか」と口にするあの姿、


映画は全然違うのだけれど、「海炭市叙景」に登場する人々を思い出しました。



微妙な位置づけの次郎の母。

呆けてゆく自分を自覚するってどんな思いがするのだろう、

それはあの仮設住宅だから加速したものかもしれないけれど、

この作品がとても裾野のひろいというか、


いろんなものを包み込んでいるなあと思ったのでした。


兄弟は忘れようとしても忘れられない過去の傷をお互い抱えているのに、

母は忘れたくないと思っても忘れてしまう【今】があって、

その対比がせつなくて、

にんげんって悲しくて愛しい存在だなあとあらためて思いました。



ふたりの警官が、次郎と母親の田植えを目撃するけれど、

そっと去っていく場面。

あれは監督があの場面だけはせめて、

天使のまなざしで撮りたかったんじゃないかと思いました。



ストレートに原発を非難したり、


脱原発を声高に叫ぶ作品ではないけれど、


本当に強いひとは静かであるように、

本当に優れた映画は淡々とひとびとに思いを伝えられるのだと思います。


あー、なんかまだまだ言いたいことはあるような気がするけど、

ひとまずはこのあたりで。


最後に、


文化庁から助成を受けたというこの映画、

取り掛かるのが数年遅れていたら、

助成は受けられなかったのではないかと思います。


強権の安倍政権が原発再稼動に大きく舵を切り、

福島にも多くのひとたちを帰還させようとしているように思えるからです。





パンフレットに大好きな福島在住の作家である、

玄侑宗久さんの文章が載っていて嬉しかったです。



Salyuさんの歌も素晴らしかったですね。








松山さん、

素晴らしい映画をありがとうございました!!!←届かなくても言いたい(笑)





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