普段見たことのないテレビ番組でも、
何かのきっかけで見ると面白かったりします。
斎藤工さんが出るというので見ました。ところがびっくり・・・。
ヨーコ・オノさんの「学校をたてたい」につながるのでした。
(既出:2009-12-15)★★★忘れた頃にたびたび再掲載しています^^
斎藤工*
《世界一受けたい授業》
児童労働の真実
2009-12-15
今、世界中のこどもの6人に1人が
危険で過酷な児童労働の現場にあるのだという。
番組ではILO(国際労働機関)のメアリー・リードさんが
講師となって、児童労働の実態を講義してくださった。
まず、児童労働の現場を知っているひと、ということで
斉藤工さんがお話しされた。
斉藤さんがバックパッカーをしていたとき、
タイで、7歳くらいの女の子が7ヶ国語を操って、
ガイドの仕事をしていたのだという。
くりいむしちゅーの有田さんは
東南アジアで車がとまると花を売る仕事をしている
子どもに会ったと話された。
いくつ以下が児童労働になるかというのは国によってまちまちらしい。
日本をはじめとしてほとんどの国は
学校に行くべき15歳未満の子どもたちが働くことを禁じているけれど、
中国、ブラジル、ケニアなどでは16歳未満なのだそうだ。
国際条約でその国の義務教育の機関を下回らないことにしているとのこと。
でも学校に通っているこどもたちがいる一方で、
世界には労働を強いられている子どもたちが大勢いるのだという。
■エジプト
午前1時、こどもたちはトラックに集められ、
ジャスミン畑にむかう。
香水の原料になるよいジャスミンをとるには、
暗くて湿度の高い時間に収穫しなければならないのだという。
子どもたちが一日に摘み取るジャスミンの数はなんと5万個!!
(おとなが鞭のようにしなる棒をもって監視している)
一日だいたい10時間くらい働き続けるのだという。
児童労働のだいたい7割がこういった農業なのだそうだ。
■インド
ここではカーペット工場でこどもたちが朝から晩まで
同じ姿勢でつむいでいる。
親に600円で売られてきた子、なかには誘拐されてきた子もいるという。
こどもたちの食事はちゃんと調理されていないため、
いつも下痢に悩まされ、薬も与えられない、そして破れた袋に
くるまって眠るという生活を続けている。
■グアテマラ
首都の郊外では爆竹などの花火製造が主な収入源。
こどもたちは6歳になると工場とは呼べないような掘っ立て小屋に
借り出され、火薬作りに従事させられる。
こどもたちは同じ姿勢で働かされている。
6歳の女の子は花火の火が引火して大やけどを負った。
(番組では皮膚がすさまじいかさぶたになっている様子が映された)
紹介した子どもたちはあくまでその国の一部の子達だけれども、
こういう実態を知って、ILOが動き始めたのだという。
児童労働の最大の原因は貧困によるもの。
世界人口のおよそ半分のひとが、一日2ドル、およそ180円未満で
暮らしているのだという。
一般的には所得の低い国ほど児童労働の割合は高くなる、と。
こどもたちは働いているため学校に行けない、
そのため読み書きができず、
大人になっても賃金の高い仕事に就けないため、
貧困から抜け出せないのだという。
親達が学校に通ったことがないため、ILOがどんなに説得しても
学校に行かせる意味がわからないのだという。
ILOは健全な成長をさまたげるような労働、
危険な労働、そして債務奴隷など、
最悪な形態の労働を2016年までに撤廃しようと努力している。
(債務奴隷というのは親が貧困であるのをいいことに
雇い主が返済できない利子でお金を貸して、
子どもたちがその借金のために働かされるということ)
■パキスタン
シアルコットという町では医療器具を作る工場が集まり、
大人たちにまじって、こどもたちが働いている。
仕事中の事故で血がでているのを見て怖くなった12歳の少年。
彼はここで4年働いているが、親の借金830ドル、
およそ75000円返すために毎日150個の医療器具を作っている。
こんなに働いて日給はわずか約90円。
■インド
フィロザバード地方、15歳以下の子どもが2万人以上働いている。
親の借金を返すために5,6歳の子が朝4時から夕方まで、
ガラスのブレスレットの溶接作業をしていた。
ここは有害な煙がつねに充満しているので、
結核や気管支炎、肺炎にかかってしまう子どもも多い。
■コロンビア
ボヤカという町では石炭鉱山でおよそ3000人の子ども達が採掘をしている。
中は息苦しくて足場も悪く、いつ崩れるか分からない状況、
石炭を掘っては外に運び出す作業をおこなっている。
機械はいっさいない。日給はおよそ1000ペソ、50円しかない。
現在こういう炭鉱で働いている子どもたちは世界中に100万人いるとも
いわれている。
リード女史は言う、
「こどもたちが労働にかりだされる一番の理由は
賃金が安く済むからです。
商品を買うとき、皆さんはできるだけ安いものを選びませんか?
だから売るほうもなんとか安く作ろうと
人件費を抑えるために子どもを使うのです」
「児童労働の犠牲になっている子どもの多くは
暴力や虐待の被害者でもあるのです。
私が聞いた話ではある6歳の女の子が
指に怪我をして血が出たときに、
大人が血を固めようと
傷口にマッチの粉を塗り火をつけた。
6歳ですから痛くて叫びますよね。
でも叫ぶと殴られてしまうのです」
「多くの政府は児童労働を改善しようと
新しい法律をつくったり
教育のシステムを整備しようとしているのですが
とにかく時間がかかるんです」
今大きな問題になっているのが
他人の家で子守や家事をする家事使用人なのだそうだ。
ほとんどがちいさな女の子なのだけれど、
彼女らは裕福な家庭にやとわれているわけではない。
貧しい家庭がさらに貧しい家庭から雇い入れるのだという。
ひとりの少女が言う、「わたしのご飯はみんなの残飯で
それがないと寝るしかない」と。
彼女らは家賃と食事がただということで
ほとんど給料はもらえないのだという。
また虐待や性的被害にあうケースも多いそうだ。
家事使用人に関しては今、国際基準を設ける動きを進めているとのこと。
子ども達を救うために、子どもたちが作った商品は輸入しないという、
法案をアメリカで1993年に出した議員がいるそうだが、
バングラディッシュの洋服業界がパニックに陥り、
あわてて子ども達を解雇した。
そこで児童労働がなくなったかというと、そうではなくて、
女の子は売春に押しやられるなど、さらに過酷な仕事をするように
なってしまったのだという。
成功した例もあるそうだ。
パキスタンでは子どもがサッカーボールを作っていたが、
国際サッカー連盟がそれを使わないことに決め、
こどもたちも(平和裡に?)その労働から解放されたとのこと。
日本でも明治の終わりごろまでには児童労働が普通にあった歴史を持つ。
ところが日本は教育に莫大な投資をして、
事務教育を徹底してきたので、識字率が高くなり、
今では児童労働はほぼなくなっている(ほぼ、が気になったけど)
学校に通うことでいろいろな世界を知り、
ひどい労働かどうかの分別もつけられるのだという。
こどもたちをただ助けてもまた新たな子どもが働くだけ。
児童労働が起きる社会の根本そのものを変えないといけない。
ILOとしては児童労働撤廃のやりかたがわかってきた。
あとはやるだけ。
「そして、児童労働の実態を知るだけでも、児童労働の撤廃につながります。
是非、学校で家庭で大人と一緒にこの問題について話し合ってほしい。
大人を動かしてほしいと思います」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ヨーコ・オノさんの「学校をたてよう」、
少し前にご紹介した医学生石松さんの活動も、
この児童労働から子ども達を解放するということで
どれほど意義のあることなのか、
実感できないでしょうか?
私にはなにひとつ、意見なんていえないですが、
ものを買うときにも、
そのものがどうやってそんなに安く作られることが可能なのか、
それを想像してみることすらしなかったので、
自分のひとつの買い物も、世界とつながっているんだという
意識をあらためてもちたいと思いました。
側面はちがうけれど、小石の波紋が世界の海とつながっているのと
きっと同じなんですね。
自分が考えて行動を起こせば、その結果は世界規模につながるという・・。
ちょっとしたきっかけで、こんなに重く現実を
つきつけてくる番組に出逢うとは思いもしませんでしたが、
(斉藤工さん、ありがとうございます)
>児童労働の実態を知るだけでも、児童労働の撤廃につながります。
このために、L図書をご訪問してくださるみなさまにも
お知らせしたいと思いました。
映像の大きなちからがないので、どこまで伝わるか不安ですが、
読んでくださってありがとうございます。