Lと花沢類の物語。2次創作です。BL要素があります。
その分野OKな方以外はスルー推奨。
Lのあこがれランキングのたび。三堂さんが同行者です。
三堂芯吾、
激しく疲れそうな行程^^
《ぜったいL〜♪》262
ヘリコプターはホテルの広大な庭の一角にある駐機場に降り立った。
「あなたが操縦するのかと思ってました」
「なんで私がするんですか。私は疲れることが嫌いです」
ふん、と横をむいて、さっさと歩き出すあなた。
あれ、この巨大ホテルじゃないんですか。
なかなかエレガントな外観でいいと思ったのに。
「着きましたよ」
あなたが意気揚々と乗り込んだホテルは、
ほらもう、子どもがロビーを走り回っているじゃないですか。
「あわっ」
いきなり、子どもが突撃してきた。
ロビー奥には土産もの店があって、
本日の催し物なんていう掲示版が
マジックショーだと。
頭痛がします。
「ここでいいんですね」
「はいっ」
なんだ、そのキラキラしたまなざし。
「この時間からだとプールはきついですね、三堂さん」
「誰がプールに・・」
「水着もありますよ、ほら、あそこ」
指差す方向では水着が売られてますね、たしかに。
「もう少し早い時間だったら」
「いや、プールは結構です」
餓鬼、いや、こどもだらけじゃないですか。
あいつらにまみれたいんですか、あなたは。
「あー、三堂さん。ミニ縁日コーナーが5階にあるそうです。
わたあめがあるといいです」
きゃっきゃ。
と形容したくなるような、あなたのハイテンション。
悪夢だ、これは悪夢にちがいない。
でも、頬をつねるまでもなく、
これは優しくない現実であることを私は知っている。
「チェックインしてきてください」
「え、私がですか」
「ええ、三堂さんの名前で2部屋とりましたから」
えっ、
なんだ、2部屋ですか。
と思いつつ、1部屋だったら途方に暮れるだろう事を
私は知っていた。
と考えつつも実は密かな期待もあって、あなたにむかって
大きく一歩踏み出すという私由来最大の暴挙というか、冒険飛躍・・・
「三堂さん?」
ぎくり。たぶん、実際に音がしたはずです。
あなたの凝視に耐えられない私は小心者です。
「はい、承知しました」
フロントに向かう自分の足がうらめしいです。
「三堂さん」
「三堂さん」
あなたはチェックインをすませた私を呼びました、
ええ、土産ものに埋まれながら。
「どうしたんですか」
「え、買ったんですよ。いけませんか」
一瞬、たしかに目の前が暗くなりました。
「宅配便で送りなさいよ」
指をくわえて立っていてもだめです。
部屋の中でさっそく食べるつもりなんでしょう。
だいたい、土産ものってのは・・・
「すみません、すぐお支度致しますので」
あなたの3倍はあろうかという図体の女性が飛び出してきて、
私にぺこりぺこりと頭を下げた。
いや、私は保護者ではないんですけど、
ま、いいか・・・。
別々の部屋を取っていたのはあなたの策略かと思っていたら、
やっぱり策略でした。
「86分後、食事です」
そう言いながらいったんは自分用の客室に招き入れてくれたあなただけれど、
腹立たしいやら悲しいやら、さまざまな想いが胸にこみあげました。
そこにはネット関係の設備がすでに整えられていて、
資料とおぼしきものも山積みされていましたから。
「仕事するんですか?」
「はい。スケジュールを明けたので、今からつじつまを合わせます」
テーブルにはケーキやらチョコやらいっぱいで、
この暑いのに置かれたカップからはココアの匂いまで立ってますけど。
「85分後、食事です」
ああ、いや、でも、
「あなたはお仕事なんでしょう。いいですよ、無理しなくても」
「だって、三堂さんと食事したいです」
ああああああああ、
この、この、この男殺しがっ!
私はもう、うなずいて、部屋を出るしかありませんでした。
本当にもう、あなたにはお手上げです。
それから85分後、
喧騒とは別の、レストランを借り切って、
あなたが食事に招待してくれました。
そこに並んでいたのは、
肉じゃがだの、ポテトサラダだの、なすの田舎煮だの、
およそ、ホテルでは出てきそうもない料理の数々。
「いけなかったですか?」
あなたは私の顔を見ず、自分の手元の、
いかにも甘そうなハチミツかけまくりのシナモントーストに
生クリームをナイフで延ばしながら言うのでした。
「ひとり暮らしの男性が好む料理ベストテン、2008年版は
少々古かったですかね」
「いえ、そういうわけでは」
「お付き合いくださってありがとうございました」
「いや、私が勝手についてきたのだし」
「それは事前にわかっていましたから」
そこを突かれると非常にまずいわけですが。
「ひとりだとたいへんでした」
あなたは生クリームを口のまわりにいっぱいつけながら、
トーストにむしゃぶりつきました。
食事しながら、あなたは、
童謡を教えてくれとせがみました。
食事中に歌は無理ですと答えると、
じゃあ、仕事が終わったら私を訪ねるという。
その瞬間から、食事が喉を通らなくなったのは言うまでもありません。
旅の最後に、続きます。
どんだけ続くんですかっての。すみません。