Quantcast
Channel: Lに捧げるちいさな図書館
Viewing all articles
Browse latest Browse all 6740

まろうさぎさんの《清盛ファイナルパーティレポ2》

$
0
0



まろうさぎさんの
   《清盛ファイナルパーティレポ2》


第1部 トークショー後半は、松山さんの話題が盛りだくさん!!
嬉しい言葉をたくさん頂きました♪

*************************************************

(承前)
磯:
「武門ではございません」というセリフが印象的ですが、役作りはどういうふうになさっていたのですか?
先々にこういうのがあるから、それに向かってという感じで?

藤本:
台本がギリギリなので、47話は1か月前でしたから、それまでは全く、
そういうことは考えずにやってました。
もちろん、忠清について自分なりに調べた知識もあるんですけれど、
現場で監督のディレクションを信じてやるのが、正解なのかなと思って、
先のことを考えずにやっていました。
1年半の長い時間をかけていますので、歴史のあのセリフの中に入っていけるので
、気持ちをこめて言わせていただきました。

柴田:
忠清は数少ない最初から最後までいる人で、この話は途中でどんどん人が死んでしまうので、
ずっと見守ってきた忠清があのセリフを言うというとてもいいシーンでした。

藤本:
名優の方がたくさんいらっしゃるんですが、大河の中でそういう方と真剣勝負ができたのが嬉しかったです。
ええと、ここで、松山くんからのメッセージを伝えてもいいですか?
こういう(皆さんと会う機会を)独り占めしちゃいけないと思って、
昨日、こういうイベントがあるんだけど、って松山くんに電話して、メッセージをもらってきました。
「本物のスタッフ、松山くんは本物っていう言葉をよく使うんですが、
 本物の俳優陣の中で真剣に演技をさせていただきました。
 そして、本物のお客様に見ていただいたことは、とても幸せです。
 僕にとって、それが一番の幸せで、本当に皆様のおかげでした!」
というメッセージです。

磯:
松山くんは「敗者」という僕らの話よりマニアックな話ばかりの本も出しましたし。

藤本:
「本物」という言葉が響きました。

柴田:
終わってみると、50回単発の作品を作ったみたいでした。それぞれ心をかけることがあって、
松山くんが(すべて)成し遂げたからこそ、「本物」という言葉が出てきた。

藤本:
松山くんは体調も崩していたし、精神的にも悩んでいたけれど、
現場では明るくリーダーシップを取ってました。
絶対にマイナスのことは言わなかったし。
芯をもって突き進んでいたので、僕らはそれに安心してついていった感じです。

磯:
芝居をやっていて面白いと翔太くんや玉木くんも言ってました。
彼は芝居の空気の読み方がうまい。本番いくまでも手が抜けないと。

藤本:
リハーサルでも返しが全部違うんです。大変でしたけれど面白かった。
また、年齢を重ねていく清盛の演技がとてもよかった。
メイクが僕の隣だったんですけれど、メイクしながらちょっと見るとDVD見て研究してて、
特に三船さんが若い頃に老人を演じた演技を晩年は参考にしてましたね。

柴田:
やっぱり彼は全てが「本気」ということなんですね。12歳から67歳まで、
26・27歳の青年なのに、大変だったと思う。
役に真摯に向かって、想像力を働かせて、フルに全てを稼働させた成果だった。
最初に中井さんたちと演技ができたのもよかったんだと思う。
棟梁になった時、なんか釈然としない顔をしていて、どうしたのと聞いたら、
棟梁の席に初めて座ると、セリフをどこに向かって言ったらいいのか分からない、
みんなに向かって言うのもよく分からないと、
そんなふうに一つ一つ体験しながらつかんで行ったんでしょう。
67歳までいって、20代半ばの青年がここまで想像力で出来るのは、素晴らしいなぁと!

磯:
平家チームと源氏チームに分かれていたんですが、平家チームの雰囲気はどうでしたか?

藤本:
(源氏チームと)仲が悪いんです(笑)2週間ごとに平家を撮って、源氏を撮って、としていたので、
「憎っくき源氏!」という感じで。冗談ですけど。
(磯:平家の移り変わりについては)
松山くんは、下から上に(席が)変わっていきましたけど僕は上座に上がれるかなと思ったら、
新しい人が入ってきて、結局最初から最後まで同じ位置でした(笑)

本郷:
うわ、申し訳ない!!それ僕のせいです(笑)
席を決める時に、忠清は一番下でいいやって(笑)いや、でも、忠清は汗を流す役なので。
いや、本当に申し訳ない。

吉松:
最初の打合せで伊東四朗さんがお隣にいたんですが、伊東さんは大河の1回目から見ていて、
僕もそうなので、ここにいる最長老なのかなと思いました。
で、なんとなく60歳になったら、(清盛役は)伊東さんになるんじゃないかと思って、
(松山くんに)最後のイメージがわかなかった。
伊東さんが清盛のイメージだったんだけど、晩年になるにつれて、松山くんが伊東さんに似てくるので、
恐怖心すら感じました。

柴田:
老年を演じるにあたって、白河法皇と忠盛という二人の父親と一緒に演じられたのは財産だったと思います。
松山くんも、夢の中で白河法皇に会うシーンが転換点になったと言ってました。
あの位置に行く覚悟ができたと。
あとふん装についても、とっても研究熱心。
年をとったふん装にトライしながらいろいろ試行錯誤がありました。

磯:
巨木のように倒れると台本にあったから、巨木のように倒れたいと言って、
それは頭を打つからやめて!と言ったんだけれど、松山くん自身がマット会社を調べて
こういうマットを使えば大丈夫なんじゃないかと、松山さんが会社に電話して、
「こういう演技に使うんだけど大丈夫か」と聞いて「大丈夫」と返事をもらうと、
美術さんに「こういうマットがあるから」と松山さんが言うという、そんなこともありました。

柴田:
あの、みなさん、このマットは日本にはないので、真似しないでくださいね!

磯:
あのシーンは1回で撮ったの?

柴田:
1回で撮りました。1回でもクラクラしたと言ってました。ほんと、危ないですからね。

磯:
そういうこだわりがあるんです。

吉松:
松山くんもだけど、他の方もすごい演技をしてくるでしょう、120%の。
松山くんに対抗するテンションで来るから、たとえば重盛とか鳥羽院とか。
どちらがやられるか!みたいなそんな中ですごい芝居を受け続けるのは大変だし、
その中で、さらにすごい芝居と思わせるのが素晴らしいなと。
でも、打ち上げの時も会ったけれど、ふつうのカッコでふつうに歩いてくると、ふつうの人なんだよね(爆笑)
憑依するって言うのかな、すごい芝居でした。
テンション下げた曲を書かなくてよかったと思いましたよ。ぬるい曲を書いたら負けちゃう。
怖い役者だと思いました。

磯:
大河ドラマって異種格闘技戦とも言われて、大河だから出来るキャスティングがあって、
このドラマでしか体験できない人とできる面があるんです。
松山ケンイチが主役をやるということが、芝居意欲をかきたてられて、
松山ケンイチが主役だったらやってもいいという人がいて、
本気モードで行くので、その中で1年間立派にやり遂げるのは、すごかった。

吉松:
ドラマって、主人公がチンピラみたいな頃から周りが立ててくれることが多いんだけど、
今度のは誰も助けてくれないドラマで面白かった。
ま、だから視聴率があれだったのかもしれないけど(笑)、バッシングもあって、
でもそれを自分(の演技)で(バッシングを)つぶすかのように熱演したのはすごいことだと思う。

磯:
現場の雰囲気はどうでしたか?

藤本:
時代が時代なので、和気あいあいというわけではないですが、とにかく真剣でした。
でも罵声が飛んだりということはなく、時間との戦いで、朝から夜中まで撮るという緊張感が
映像にも出ていたかなと思います。

柴田:
それぞれ1年もやるとその役になってくるんです。24時間のうち、本人よりも役の方が長いんですから。
最後ラストの若い頃のカットですが、松山さんは、67歳からふん装変えて、さあ、笑って!と言ったら
「笑えない」と1回撮り直しました。
でも、最後まで笑い顔の口角が下がってたと気にしてました。
でも、そうやって1年演じるから戻れるんです。

藤本:
1日にあれだけ撮って、どのくらいになるんですか?

磯:
1日で10分前後です。

藤本:
フ――(と大きなため息) 皆さん、聞きました?

磯:
だから、4日間撮って、1回分。

藤本:
でも1年以上やりましたよね。

柴田:
まあロケもあるから(笑)

磯:
松山くんは、老人芝居をする時に口元にしわができるように筋肉をコントロールしてやってたり、
とにかくすごい努力をしていました。
よく聞かれるのが1人の役者がなぜずっと演じるのかということなんですが、
確かに役者を年齢ごとに使うこともありますけれど、
幼少から晩年まで演じることで、役者に役がしみついていくものがある。
実際に演じた方が生きた肥しになってきて、実際に体験してもらうことが大事だと思います。

柴田:
よく役者さんが「今、10歳とか7歳なんですけど」と心配して言いに来るんですが
テロップにして出したりしないから、年齢のことは考えないで!と言うんです。
でも「年表で見るとさぁ」って(笑)

藤本:
僕はいろんな人と芝居が出来るのが嬉しかったですが、自分が何歳なのかは、そうですね、
重盛の時は困りました。維盛は大丈夫だったんですけど(笑)

磯:
後半の雰囲気も松山さんが作ってました。前半は教えを乞う感じだったのが、
後半には松山さんが若い役者さんに教えていた。

藤本:
貴一さんや梅雀さんがいらした時は、梅雀さんは「新・平家」から出演なさっているし、
「語尾をあげない」とか、いろいろ教えていただいて、
それを我々が今度は伝えていかなきゃいけない、というので、教えました。

磯:
重盛や宗盛に伝えてましたね。

藤本:
ただ、言葉遣いに関しては平安と戦国は違うし、自由でいいよと言われたので、
若い方たちの感性で話してもらうこともあって。平安時代の話し方って、どういうのですか?

本郷:
本当のことは、全くわかりまへん!!京都で「なんで京都弁しゃべらへんの?」と言われましたが、
わからないんだもん。
明治時代に文語体と口語体を一致させて、それが日本の国民が生まれた瞬間だという説もあるくらい、
話し言葉と書き言葉は違う。
平家物語をとことん研究すれば、口語体の復元も可能だろうけれど、実際はちょっと難しい。

藤本:
だから、アクセントとかはあまり言わないようにしてました。

磯:
兎丸だけ関西弁でしたが(笑)加藤さんは北海道だから、悩んでました。
吉本だからって関西弁がしゃべれるわけじゃないんだと。
でも、京都弁があったかどうかも、分からないんですよね。

本郷:
そこも説が割れていたんですけど、ごめんなさい!

藤本:
考証の先生方の間でいろいろ(説が)割れて大変だったと聞きましたが。
「平家はもはや武門ではない」のところも。

本郷:
何のことでしょう?(笑)
いや、あのセリフで僕はやったぜ!と思い、高橋先生は「あぁ〜〜」と思ったでしょう。
高橋昌明先生に勝ったぜと(笑)。いや、平家をどう把握するかは、研究者によって違うんですが、
忠清の目線で僕は考えていて、高橋先生は違う面から見ているということです。

磯:
高橋先生が厳しくて、それを本郷先生がこうしたらいいですよと抜け道を教えてくれる、
色々と考えた上で、こういうことですという言い訳を考えてくださったんです。

本郷:
言い訳係で〜〜す。
高橋先生はメールとかでやりとりするんですが、僕の場合は携帯一本。
あの、思い出に残っているのが、僕の先輩のお葬式で受付を粛々としている時に、
(アシスタント)ディレクターが電話してきて「あの、これについて至急」と言うんですが
「今、お葬式!」と言っても必死なんです。渡辺一貴さんに怒られるからって、許してくんないの(笑)
だから、「ちょ、ちょっと落ち着こうね」とか言って。

藤本:
でも、分からないことがあると、撮影が中断するんです。

磯:
時代考証って10人いると10人意見が違うんですよね。

本郷:
すいませ〜〜ん!!

磯:
いや、本郷先生は、とても大変だったろうなということです。

本郷:
とりあえず学会も追放されていませんので、大丈夫です(笑)

というところで、第一部トーク終了。
すでに、16:30 当初の予定より30分オーバー!!

******************************************************************************************

★★★「敗者」が一人称なら、トークショーは三人称で
「平清盛」の松山さんとその世界を振り返るもの、という気がしました。
参加していないのに、ここまで味わえていいのかと恐縮しています。

何度も何度も繰り返し、読みたくなる内容ですね。
藤本さんがご参加くださったからこそ、
役者さんたちの様子もわかって、立体的になったのだと思います。
松山さんに連絡して、メッセージを預かってくださるなど、
なんてお優しいのでしょう、藤本さん!

まろうさぎさん、ありがとうございます。まだまだ続くのですね!
(と言いつつ、先に拝読させていただいて、超幸せ者です^^)

取り急ぎ、UPさせていただきます。
またコメントさせてくださいね!



Viewing all articles
Browse latest Browse all 6740

Trending Articles