Pavane pour une Infante defunte:
RAVEL Fujiko Hemming
http://youtu.be/fnad7ulkE9k
母の好きな音楽だ。
ちいさい頃から「好きだ」とLP盤を聴かされた。
死というものを初めて意識した音楽だったかもしれない。
それは、断絶という荒々しいものではなく、
でも決して手の届かない、彼方をさすものだと、
この穏やかで淋しいメロディーで学んだ気がする。
母は、皇女の亡骸を納めた棺を侍従たちが掲げて、静かに湖のほとりに
運んでゆくのだ、そういう光景が目に浮かぶと言った。
二度と帰らないひとの静けさ。
声をかぎりに叫んでも届かないその距離。
現実が冷たく突き放すかわりに、
音楽が優しく諭してくれるような気がした。
ラベル作曲、「亡き皇女のためのパヴァーヌ」・・・
いつの間にか私も大好きになった。